ミスコン潰し対策&容姿審査批判対策面での募集要項の変更状況(2020年末現在)

 昨今の「にわかSDGsブーム」で、SDGsの目標を自己の都合の良いように曲解する人たちによりますところの、行動が伴わずとも(むしろ不平等の創出のような正反対のことを行っておられるのですけど)とりあえず「SDGs」と言っときゃ好感度アップだろ的な「俺たちSDGsやってるぜ自慢」の様子を眺めて楽しませていただいておりますけども、今回は2020年の募集要項において見られましたミスコン潰し対策、容姿審査批判対策面での変更についてお伝えいたします。

 一部は過日の記事で触れましたが、その後の状況も見てまいりました。
 
 男女間の不平等の解消とか女性蔑視の排除とか拒絶意思表示が困難な立場にある女性への不快行動の根絶についての議論以前に、もうどうでもいい制約や条件は、募集要項からじゃんじゃん削除してしまいましょう。そうすれば、ミスコンクレイマーさんたちからの攻撃は、自然と各地域の公共ミスから東京の民間ミスコンへと向かっていってくれるはずです戦いたくない敵とは戦わず、いらない者同士を戦わせるようにすることが賢明なのでございます。
 
 2020年内にも既に多くのご当地さんが対策済みのようですけども、以下、主な変更ポイントを示させていただきたいと存じます。
 
田村市観光キャンペーンクルー(福島県田村市)
 2020年に申込書の「体重」記入欄が削除されました。「体重」→「体重(任意記入)」→(記入欄自体を削除)と変遷したことになります。「身長」欄は存置されています。
 
古河桃むすめ(茨城県古河市)
 2020年から卒業見込みの高校生も応募可能となりました(高校3年生が選出された場合は、活動が1月下旬からなので、一部在学中も活動期間となる)が、さらに2021年より男性も表向き応募できるようになりました。呼称は「むすめ」のままとするのは、雪の女王(新潟県長岡市)や由布市キャンペーンレディ(大分県由布市)などとと同じ、いわゆる旧ミス奈良方式なのでございます。

茨城空港応援大使(茨城県小美玉市)
 2020年に申込書への身体サイズ記入欄は服のサイズ(号)のみとなり、身長体重の申告が不要になりました。

小美玉コンシェルジュ(茨城県小美玉市)
 2021年は申込書への身体サイズ記入欄の「体重」欄が削除されました。ただし、同じ小美玉市でもこちらは「身長」欄は残存しております。
 
足利織姫親善大使(栃木県足利市)
 3年半ぶりに募集されましたが、「足利・ミス織姫」から改称され、独身でなくても応募可能となりました。ただし、「大使」はカモフラージュで、女性限定は維持されています。また、高校生不可の制限が無くなりました。
 
深谷フラワークィーン(埼玉県深谷市)
 2020年は活動&募集停止状態でしたけども、大河ドラマの舞台となる2021年就任分については募集されました。募集要項の「面接時のロングスカート、パンツ、ブーツ不可」がようやく削除されました(笑)パンツ不可はともかく、ロングスカートやブーツまでもおおっぴらに禁止していたのはここだけ(当サイト調べ)でございまして、主催者さんの足への執着度は相当高かったものと存じます(笑笑)。下述のミス七夕&織物のほか、後述のミスハイビスカスでも先に同様な指定が削除されているので、これで審査時のスカート着用指定が残るのは青森県くらいでしょうか?(他にも、公表はしないものの、直接応募者に面接時のパンツ&ロングスカート不可の通達をしているケースも結構ありそうな気がしますけど。)

 確かに、結果的に2年ぶりとなる2021年の募集では、面接審査時の「服装は基本的に自由です」が記載されるようになっております。応募締切が2月12日に迫っております。ご検討中だった方はお忘れのございませんように。
 
(追記)しかしこのネタにはさらにオチが用意されておりました(笑)。
「面接時のロングスカート、パンツ、ブーツ不可」を募集要項からは削除し「面接時の服装は基本的に自由です」としながら、応募者への面接案内では復活させる「深谷フラワークィーン方式」
‥容姿審査への批判からは逃れたいけども、脚線への執着だけはどうしても譲れない主催者さんは、応募締切後に「面接のときはちゃんと足見せろよ(意訳 笑)」を復活させるという手の込んだ偽装作戦を編み出してこられました。これは「深谷フラワークィーン方式」と命名させていただきたいと存じます。油断して応募された方はご愁傷様でした、というのは冗談でございまして、ご健闘をお祈りいたします。
 
 
ミス七夕 ミス織物(愛知県一宮市)
 面接審査の際の『ジーンズ等パンツ類は禁止』となっています(いました)。が、前の記事にもありました通り、2020年に募集選考事務が停止したまま、ミス七夕・ミス織物は廃止される可能性が高いと言われています[誰によって?]。
 
稲沢市キャンペーンレディ(愛知県稲沢市)
 2021年活動分の募集では、35歳までであった年齢上限は撤廃されました。また、年齢の基準日が、審査日(2020年は1月24日)時点から「4月1日現在」に変更されたため、高校卒業見込みの人が不公平なく応募できるようになりました。体重の申告も不要になっております。
 
津クイーン(津市)
 2019年は「津市に本籍地がある」の条件に拡大されましたが、2020年度は削除されました。同時に、従来の「津市内在住・在勤・在学」の表現が「津市の区域内‥」と、やや緩和されました。これは、津市の外側の市町に所在する津商工会議所加盟企業の勤務者および子女も応募可能とするための措置と見られます。
 また、資格の基準日が「3月31日時点」から、「3月6日時点(応募締切時)または4月1日時点」となり、津市区域内の内外への転入者、転出者ともに配慮されたものへと変更されまさした。
 しかし2020年は募集されていたものの、長い保留期間を経たのち結局「選出取り止め」とされ、同年の応募は無効となっていそうです。
 
プリンセス天橋立(京都府宮津市)
 2021年の募集では海開きイベントにおける「水着の着用」が削除されました。さらには、「18歳以上27歳以下の女性」であったのが、単に「18歳以上」となりまして、年齢上限と同時に性別制限も表向きには撤廃されました。でもここも「プリンセス」の呼称はそのまま。(追記:その後性別制限は元に戻り、女性限定は維持されています。)
 付け加えますと、2020年は公式催事で水着のお姿になる公共ミスが全国に1件もありませんでした(当サイト調べ)。恐らくこれは過去に例がない公共ミス史上初の出来事となりそうでございます。
 
ミスゆかた(兵庫県豊岡市旧城崎町地域)
 募集サイト(ポスター)の見出しを「城崎温泉観光大使」とし、「ミスゆかた」の文字を小さく小さくする措置が講じられています(笑)。中高年の女性が裸眼では読めないほどまでに「ミス」の文字を小さくすることでミスコン潰しの目から逃れるという、これはいわゆるカモフラージュ策の「ミス岩国方式」。しかも、こっそりと「女性を選考する」と性別の条件が再び記載されるようになりました(いったんは2016年に性別条件が削除されていました)。ただし、独身限定や年齢上限の応募資格は復活していないため、表向きには女性であれば誰でも応募できるようにはなっております。
 
菊姫(大分県佐伯市)
 2020年は身長に制限(150-165センチメートル)が付きましたが、これは所有している衣装のサイズの関係と推測いたします。ただし、同年の「菊姫まつり(さいき春まつり 菊姫行列)」は直前に中止となって選考結果は幻と化し、さらに2021年の同まつりも中止が発表され、次年繰り越しでの出演機会創出の可能性も絶たれたものと思います。
 
由布市キャンペーンレディ(大分県由布市)
 2020年に表向き男性も応募が可能になり、それと引き換えに「旅行券」等の豪華賞品が削除されていました。2021年にはさらに身長の申告が不要になりましたけども、募集要項から賞品と日当に関する記述は一切無くなりました(市直轄ミスですので、稼働日には何らかの手当はあると信じております‥)。
 
九重キャンペーンレディ(大分県九重町)
 2020年にミセスやバツ1でも応募できるようになっておりましたけども(その代わりに「国内旅行」が商品から削除されていました)、2021年はさらに身長の申告も不要となりました。

小林コスモスレディ(宮崎県小林市)
 「18歳以上の未婚女性」から「18歳以上の女性」に応募資格が緩和されまして、居住地制限もなくなりました。その代わりに賞金が「10万円」から金額非開示に変更されました(就任までスポンサーさんが生き延びていることを祈ります)。ここは身長体重の申告は引き続き必要となっております。
 
はごろもレディ(沖縄県宜野湾市)
 2018年の募集では宜野湾市内在住・在勤・在学に加え「本籍が宜野湾市も可」となり、2020年の募集ではさらに「県内在住・在勤・在学」に緩和されております。
 
ミスハイビスカス(沖縄県沖縄市)
 2019年1月任期開始分から、年齢上限と「面接時のパンツ不可」の撤廃がされ、スリーサイズや血液型の申告も不要となりました。しかしそれらと引き換えに賞金額面が半減(10万円→5万円)されてしまうのは想像する通りで、やはり改革には痛みを伴うのでございます‥。
 2021年は体重の記入も不要となり、身体サイズの申告は身長と靴サイズのみとなりました。最終審査が非公開に変更されたため、出場賞金(1万円)もなくなってしまいました。賞金額も減額されたまま戻っておりません。

ミス八重山(沖縄県石垣市・竹富町・与那国町)
 「18歳以上の未婚女性」から「20歳以上の未婚女性」に変更されました。観光宣伝機会の減少を見据えて、泡盛の宣伝に活路を見いだした可能性があります。他の某県某市の某公共ミスでは未だに未成年の就任者に酒類の宣伝をさせて未成年の就任者に酒類を提供するという違法行為を堂々と行っていることを考えますと、ミス八重山はじめ沖縄県のミスは非常に健全と言えるのではないでしょうか。
 
  
 ちなみに、身長体重と胸胴腰のスリーサイズのすべての寸法の申告が必要な公共ミスは、2020年末時点では以下のようになっています(当サイト調べ)。

2020年末時点の日本のすべての公共ミス等

430

うち公募の公共ミス等

362 (84%)

応募時にスリーサイズの申告が必要

7 (1.63%)

この7件の内訳は、上述のものを含めますと、
ミス駒子(新潟県湯沢町)
ミス加賀友禅(金沢市)※
ミス志賀高原(長野県山ノ内町志賀高原地区)※
ミス熱海(静岡県熱海市)
ミス雛のつるし飾り(静岡県東伊豆町)
ミスゆかた ※
ミス八重山
‥となっております。
※は2020年の募集中止または事実上募集中止
 
 大昔は応募者数百人のレベルだったのかも知れませんし、そうでしたら書類選考もさぞ大変でしょうから、書類で落とすための記載事項がないと困ったのかも知れませんけども、今は逆に応募者が少なくて困っている時代です。

 例えば、年齢上限なしでスリーサイズを問わない「十日町きもの女王」が35歳未満限定でスリーサイズも申告させる「ミス加賀友禅」に劣っているかと言いますと、そうではございませんで、どちらも素晴らしいです。そうしますと、後者の主催者さんは、不必要な資格条件を設けて不必要な事項を申告させているということになります。
 
 応募資格と応募用紙の記載事項についての、当ブログ推奨のものを以下に示します。

身長体重記入欄は削除する
 「制服の用意に使う」→採寸は選出後に行えばいいでしょ?
 ミス別府(大分県別府市)は身長制限(152cm以上)を2016年に撤廃済みでございまして、2016年に時代に逆行して身長制限(160cm以上)を設けた「とちぎフレッシュメイト」(栃木県)も、2018年に削除済みなのです。
 「菊姫」のように、相当な理由があれば別ですけれど。
 
スリーサイズ記入欄は削除する
 「容姿の審査に使う」→募集も選考も任用も税金に一切頼らないならばそのままでいいですけど、主催団体さんはこのような時節でもお元気でいらっしゃいますか?
 自治体が主催共催する催事から排除されたら、ミスの活動内容が、身内の式典と総会と飲み会だけの「俺たちだけの目の保養要員」に終わってしまいますけど?
 それでも、面接審査において応募書類に記載されている数字と「実物」を見比べて正直者か嘘つきかを見分けるのに是非とも必要とか主張されたら、もうこれ以上申し上げることはございません(笑)。
 
血液型の記入欄とか削除する
 血液型で性格や適性を決めつけていた昭和時代の書式でございましょうか? 令和の時代に採否に何の関係が(笑)。就任発表の報道向け資料に「血液型 B」とか載せて何の意味が(笑笑)「ああこの人自己中だけど人気者なんだな」とか突っ込んで欲しいのですか(笑笑笑)
 利き腕の左右を申告させるところは、さすがにもう存在しなさそうです。
 靴のサイズを左右別々に記入させているところはまだあった気が‥。靴のサイズも選出後で十分でしょう。
 
年齢上限は設けない
 配役の募集ならば別。ただし幅を持たせても衣装やメイクで何とでもなる。
 広告やパンフのモデルとしての開拓対象のターゲット層の都合上、どうしても必要なら理解できます。けども、相応の説明が必要になって結構面倒ではありませんか?

年齢下限が18歳の場合の年齢基準日は、選出年の「4月1日現在」とする
 「4月2日現在」のものは無くなったと存じますけど(追記:宮島観光親善大使が今でも採用)、未だに「3月31日現在」が存在し、これで応募機会が減っているとしたら結構な損失です。「4月1日現在」に統一して、同学年の人の間で応募できたりできなかったりする不平等は無くしてしまいましょう。
 (ただし、年齢下限を20歳としている場合は、「選考日現在」や「任期開始日現在」とすることでもよいです。)
 
「高校生不可」は削除する
 年齢に関わらず定時制通信制単位制で学ぶ人も多く、その場合平日稼働があっても事前に調整できます。18歳では既に選挙権もあることですし、日本でも来年には18歳ならばもう未成年ではなく成人で、務めを果たせられるかどうかは自分で判断できるのでございます。
 
性別条件は設けない
 例え「ミス」「女王」「娘」‥でも性別制限を無くしておくのがトレンド(笑)。
 配役の募集であっても、戸籍上性別と生活上性別が必ずしも一致するとは限らないですし、ご当地歌舞伎の女形出身者とかむしろ「姫」には好適かも。
 
婚姻制限は設けない
 「独身に限る」→バツ1やバツ2の人が応募してきます(笑)。「未婚に限る」→シングルマザーやシングルグランドマザーが応募してきます(笑笑)。
 見苦しい攻防はもう止めてしまい、「ミス」でも独身に拘らないほうが面倒がなくていいのではないでしょうか。「ミス」が呼称に付くけども既婚可の公共ミスも実際に複数件存在していますし、身元証明資料の提出をさせたり確認などをする手間も省けることですし。
 
転居制限は緩和する
 「ご結婚の予定のある方、婚約中の方の応募はご遠慮ください」は、そうしないと青年部のお兄さん方も気合が入らないでしょうか。ならば仕方ないです(笑)。でも任期中に出産し前後して結婚もしてしまうケースもございまして、完全に防ぐことはもう不可能で、あまり意味がなくなっています。彼氏がいたらダメとか、どこかのアイドルグループじゃあるまいし(笑)。
 「遠方への転居や留学の予定のある方は応募できません」は、過去に賞金だけ貰われてトンズラされた苦い経験が察せられ、とても同情しますけど。
 いずれも「任期中に務めを果たせられること」の一文をしっかりと書いておくだけで十分なのです。
 
居住地制限は緩和する
 交通費との兼ね合いで無制限にするのは難しいことでしょうけども、最低限、通勤可能圏くらいまではよろしいのではないでしょうか。応募者数減少抑止に繋がります。
 放送キー局や大規模催事施設が所在する大都会居住者であれば、その地での広報活動に重宝すると存じます。
 他地域からの観光客目線での当地の魅力発掘や紹介が期待できるかも知れません。
 選出がきっかけで将来の就職先や移住先として選ばれることも期待できそうです。

 
 それでもどうしてもスタイル抜群の独身未婚の女性しかイヤイヤなワガママちゃんな主催者さんには、呼称(肩書)から「ミス」を外すのがお勧めです。ミスコン潰し層の方々は「ミス」の語に敏感に反応しますので、応募資格はそのままでも、呼称だけ「大使」や「レディ」にしておけば、気付かれにくくカモフラージュできるかと存じます。そのような小技がいつまで通用するのかは分かりませんけども(笑)。
 
 
※この記事における件数は、2020年末時点のものです。最新のものは「日本のすべての公共ミス・ご当地生産物と観光資源のプロモーションガール(ボーイ・大使・アンバサダー・レディ・娘・小町・女王・クイーン・姫・プリンセス・フレッシュ・メイツ・フレンズ・アシスタント・コンシェルジュ・スタッフ・クルー‥)の最新データ数」をご参照ください。
 
 
(追記)こんな書物があるのを知りました。
ミス・コンテスト NON! : 全国3382市町村ミス・コンテスト実態調査資料
‥これは本当に凄いです。版元は「堺市女性団体連絡協議会」、出版年は「1989」となってございます。1980年代後期のようなSNSと言えば(SNSという言葉すら存在しない)ブログや掲示板のような簡単なウェブサイトくらいしかない時代に、3382市町村もお調べになられていたのですか。その行動力と組織力の高さには驚くものがございます。
 それらには民間ミスコンも多く含まれているものと想像しますけども、2020年末時点では市区町村レベルのミスコンはどのように多く見積もっても100件未満でございます。数千件はあったであろうものを100件未満に減少させたのは「功績」となるのでしょうけども、歴史とともに、賛否はどうでありましても、とにかく力強いものを感じるのでございます。