讃岐さーもんフェア
主催 香川・愛媛せとうち旬彩館 さぬき海の幸販売促進協議会
日時 2022年4月14日(木) 13:00ごろ-17:00
2022年4月15日(金) 9:00-17:00
2022年4月16日(土) 9:00-17:00
2022年4月17日(日) 10:00過ぎ(笑)-15:00ごろ
場所 香川・愛媛せとうち旬彩館(東京都港区新橋2-19-10)
交通 新橋駅(JR東海道線・山手線 ゆりかもめ線 都営地下鉄浅草線 東京メトロ銀座線) 歩1-3分
昨年10月のお出ましにて連日完売の大活躍を見せた香川おさかな大使さんが、再び降臨される模様です。
折り紙付きの超絶販促力がもたらした破格の4日間というロングラン期間設定であります。しかも、大使さんの本来の任期は3月末までなので型通りでは降臨不可能であるところ、お魚の出荷時期まで引っ張るという並外れた待遇で県外への御成りを実現しておられます。見事であります。
で、
おおー。
早速お出ましになられています。
14代目(2021)香川おさかな大使 田村純麗さん
しかと降臨しておられます。
前回のお出まし時は「オリーブハマチ」でしたが、今回お持ちなのは「讃岐さーもん」であります。
首都圏では見かけることが稀でしたが、ようやく初めて讃岐さーもんを手にいたします。
「讃岐さーもん」の正体は養殖ニジマス(Oncorhynchus mykiss タイヘイヨウサケ属ニジマス)で、小売店や寿司店で「サーモン」「サーモントラウト」と表示されているものと同じ種類です。(ただし、「とろサーモン」「上サーモン」などと区別して表示されているものは、別属のタイセイヨウサケであることが多い。)
ニジマスは日本には自然生息していない外来種ですが、北海道では放流されたニジマスが生態系を乱していると伝えられえています。一方の本州では、釣り堀や内水面養殖施設から流出した個体が少々生息しているものの、暖地で長期間生き延びることはできず、さして問題とはなっていません。海に出て大型化したニジマスが再び本州の河川を遡上することはまずないと思っています(暑さで弱るか死滅すると思う)。
内水面で養殖したものをさらに海面に移して養殖すると大型化できるので、ノルウェー産のものと同じように東北地方でも商品化が行われていました(青森県の「海峡サーモン」など)。
それがなぜ暖地の香川県で? との疑問が生じて以前漁連さんにお聞きしたところでは、「東北地方太平洋沖地震のとき、大津波で東北地方沿岸の生簀が全壊したため、内水面で孵化させた多くの稚魚が行き場を失い、種苗業者さんが困っていた。それを香川県(の生産者さん)で譲り受けて瀬戸内海で育てた」のが讃岐さーもんの始まりとのことでして、比較的新しい部類のブランドお魚ということになります。
寒冷地でしか成長できないニジマスを温かい瀬戸内海で養殖するのは素人知識的には無茶な気がしましたが、冬の間に育て、海水が温かくなる直前に出荷するということで解決した模様です。
養殖期間が短いと、サクにされるような一般的な印象における「サーモン」に至らない、串焼きになるような小ぶりな「ニジマス」に留まってしまいそうです(大きな利益を生むのは難しい)。
そこで、成長が早いニジマスの中でもさらに成長が早いものを選抜した品種を使い(恐らく「ドナルドソン」かその子孫の養殖品種と思われる)、暑さで弱るギリギリの4月まで生簀で育てることで出荷できるサイズに持っていくという技によって高付加価値の商品化を成し遂げたと理解いたしました。
【海面養殖されたニジマスがブランド化「讃岐さーもん」】
全国的なご当地サーモンの人気上昇により、香川県の海に適したニジマス種苗が入りにくくなってきています。何とか県産ニジマス稚魚を生産できないかと取り組み中です。ニジマスは喉が狭いため他の魚に比べ小さなサイズの餌をあげています。 pic.twitter.com/Lof6ARutEG— 地魚TIMES KAGAWA〜毎朝ひとネタ地魚情報をお届け〜 (@KagawaTimes) February 25, 2022
上の投稿によりますと、2011年の震災後は引き受け先がなくて困っていた種苗が、今や奪い合いになっているということらしいです。養殖が盛んな香川県でありますが、ハマチもニジマスも孵化や稚魚の漁獲は他県で行われているそうで、自力での種苗生産を今後の課題としておられる模様です。
と長々とした事前知識を得たところで、久しぶりに刺身包丁を手にいたします。既に刺身になっているものを購入してもよいのですが、言葉ではうまく説明できない衝動にかられて(笑)、自らの手で薄く薄く切ってみたくなることもあるのであります。
とても鮮やかなサーモンピンク、を通り越したバーミリオンですが、本来は、この色はオキアミなどの甲殻類を大量に摂取するグルメな天然のサケ科魚類が食物連鎖による生物濃縮で得たものです。しかしながら、養殖の世界においては、コストと寄生虫回避の関係で、高価なエビ類を大量に食べさせることができないので、アスタキサンチンという色素をエサに混ぜて、飲食店が好きそうな身色にしていると理解しております。(この辺りは、以前サケ科魚類の取扱いについて管理栄養士さんと意見交換させていただいた際にいろいろ調べたので、一定の知識の蓄積がある次第です。この色素は工業的に作られたものも天然のオキアミやサケ科魚類の色素と同じ分子構造で、有益無害とされているらしい。お魚にサプリを与えてるようなもんか?)
某実習でニジマスについて「身が赤い方が高く売れるので,色素入りの配合飼料で育てる事があります。これを色揚げと言います」と習うのだけれど,ドナルドソンの海面養殖以外でも行われてるのだろうか?そしてそれがサーモンとして流通しているのか,マスとして流通しているのか,気になってきた。
— Taiga YODO (@TaigaYodo) December 8, 2013
厚労省的には飼料添加物の色調強化剤と言うのだそうですが、同省のサイトによりますと、サケ科魚類ではニジマスのほか、ギンザケ、ヤマメ、アマゴ、ニッコウイワナも同様に飼料にアスタキサンチンを添加してよいとされています。ニッコウイワナがOKで、同属同種で自然生息地の違いだけのヤマトイワナがNGなのは、業界からの圧力で養殖業者さんのご都合を追認したものと思います。ちなみに、ヤマメとアマゴもボーダーレスというかほぼ同じで、令和時代の現代では区別すること自体意味がないものとなっていますが、さらにそれぞれを海で育てたサクラマスとサツキマスがOKとなるのかは微妙なところです。
ご当地度を極めたい貴兄には、寿司飯に敷く海苔も香川県産を使用することをお勧めいたします。
できました「讃岐さーもん丼」。いただきます。練りワサビてんこ盛りは当サイトの仕様であります。
なお、例によりまして、おさかな大使さんが降臨する販促催事では、「伊吹いりこ」「瀬戸内の板海苔」「味付け海苔」「焼き海苔」「ウェットティッシュ」「クリアファイル」など至れり尽くせりノベルティ満載でありました。
ということで、いつまでもホラ吹き専門家に洗脳されたコロナ過大脅威妄想から醒めずに対面宣伝販売を全面禁止にしている他県のご当地アンテナショップが多い中、ここではご当地アンテナショップの目的と使命は何であったのかということを改めて認識させていただけるのでありまして、せとうち旬彩館さんがまたしても圧倒的勝利を収めたということでありました。