チクマU-FACTORYのユニフォーム製品 A50691 を2020春夏期に採用した日本の公共プロモーションガール

日本のすべての公共ミス・ご当地生産物と観光資源のプロモーションガール(ボーイ・大使・アンバサダー・レディ・娘・小町・女王・クイーン・姫・プリンセス・フレッシュ・メイツ・フレンズ・アシスタント・アテンダント・コンシェルジュ・スタッフ・クルー‥)に最も支持された既製服の衣装とは(2020年春夏)

 えータイトル文字とタイトル画像の通りなのですが、今まではどこも鮮やかだなあとか潜在的には感じていたかも知れないものの、写真を見る際も撮る際もどこの地域の人なのかをタスキの文字から確かめるのに必死でして、お衣裳がどうなのかについて無頓着でありました。
 
 しかしながら、しかるべき方々が身にまとわれるお衣裳が観衆に与える視覚的効果は重要なものでありましょうし、特に、紡織や縫製が貴重あるいは主要な産業となっているご当地さんにとっては、オリジナルのお衣裳が直接あるいは媒体を通じて露出されること自体が、誇るべき地域の底力の賜物の展示となっているのであります。
 
 
2020年に全国の公共プロモーションガールの春夏衣装として複数件採用された既製品の接客案内女性用ユニフォームの例(春姿)
 そうではないご当地さんにとっては、年に数回程度のお出ましであれば、私服でも貸衣装でも事足りるでしょうけど、もし要人の表敬訪問や接遇や介添にメディア回りや催事出演なんかの出番が増えてくると、ご本人の負担も増えてくるでしょうし、数回借りるだけで買うよりも高くつくレンタル代も支障となってくると想像します。そのようなご当地さんが既製服の制服を購入して衣装として用いるのだと思います。
 
 前述の「視覚的効果」には、例えば、MC時の注視に繋げるとか、販売支援時の集客に繋げるとか色々考えられますが、そのような観衆や通行人(媒体を通じるときは視聴者、訪問者、読者など)から目に留めて貰う(「アイキャッチ」と言うらしい)対象にならしめるということが挙げられましょう。そのような効果がどのような形でどのような大きさで利益や税収に貢献するのかについては、いかんせん学がないため分かりませんが、少なくとも結構なお金を使ってまで衣装を設けるのは「(便益や恩恵として戻ってくる)何か」があるからだというように理解します。メディアさんも「映え」がない絵だと取り上げないでしょうし。
 
 
2020年に全国の公共プロモーションガールの春夏衣装として複数件採用された既製品の接客案内女性用ユニフォームの例(夏姿)
 それゆえ、今まで衣装については、漠然と、人に与えられるものではなく催事の活況を促すビジネスのためのアイテム、つまり出店ブースの「垂れ幕」や「のぼり」と同列のようなものと思っていましたが、今更ながら少し考えてみると、より多くの人々から好印象を持って注目されることが、より多くのより価値のある仕事をすることを可能にさせる。衣装はそれを支援する。つまりは人のためにあるもののように認識しつつあるような気がします。
 
 一方で、当愚サイトでは小規模ながらデータベースの拡張が行われた模様で、今年の新規就任一覧のページのように、公式SNSの引用を容易に多数件表示することが可能となって参りました。それで全国通津浦々のしかるべき方々のお姿を俯瞰できるようなった結果、「お? またここもこの衣装か!」と気に留め出すに至ったのであります。
 
 
チクマU-FACTORYのユニフォーム製品 A50691 と A40691 のカタログ上の価格(2020春夏時点)
 通販サイトの画像検索を経てメーカーを調べると、その衣装に使われる制服とは「U-FACTORY」というブランドで、チクマ(大阪市)という作業着を始めとする各種制服を広く取り扱う会社が販売元となっています。同社の沿革によるとU-FACTORYを2010年に吸収合併したとなっていますが、それ以前からも事実上はチクマの1ブランドとして機能していたものと察します。ともあれ、カタログを見たら出るわ出るわ、見たことのある制服が。寡占となっている接客女性用高級制服のマーケットでも、圧倒的なシェアを獲得している模様です。
 
 製品ごとの名称はなく(新作発表や不人気品淘汰の出入りが頻繁なため当然でしょう)、型番で特定するしかないのですが、タイトル画像のこの商品はドレス(=ワンピース 以下ワンピ)が「A50691」、ジャケットが「A40691」で、2018年春夏から登場した比較的新しいモデルです。
 
チクマU-FACTORYのユニフォーム製品 A50691 と A40691 のカタログ上の価格(2020春夏時点)分割版右
 2018年春夏カタログ(S/S)にて発表されるやいなや、目の肥えたご本人や事務局さんから絶賛されたものと想像しますが、すべては調べられないものの同年度の「いわて純情むすめ」(岩手県)、「スマイル茅ヶ崎」(神奈川県茅ケ崎市)、「南越前町山海里PR隊」(福井県同町)、「観光大使はまだ」(島根県浜田市)、「丸亀市観光親善大使」(香川県同市)、「大村フラワー大使」(長崎県大村市)、「おきのえらぶ島観光大使」(鹿児島県和泊町・知名町)、色違い(青緑=エメラルドグリーンと言う人もいる)の同モデルが「あきた観光レディー」(秋田市)、「雪の女王」(新潟県長岡市)、「おやべメルヘンメイト」(富山県小矢部市)、「ミスせともの」(愛知県瀬戸市)、「三原ミスやっさ」(広島県三原市)、「織姫」(福岡県小郡市)などで早速採用されています。

 服飾業界にも詳しくないところ競合数社のカタログを拝見する限りでは、元々制服として常識的には敬遠されると想像するアシンメトリ意匠の高級制服では事実上U-FACTORYの独壇場のようですが、さらに、色や織りの異なるテキスタイルの組み合わせ位置は、ワンピではウエスト位置水平であるのが一般的なところ(いわゆる切り替えワンピ)U-FACTORYでは縦にも複雑に切り替え、しかも切り替えが直線ではなく弧を描くカーブになっているという、眼識豊かなお嬢様方を挑発するに十分の刺激的な意匠と危ない橋を渡るような度胸のある配色が、この「A50691」の人気たる所以であると理解するのであります。
  
 大量生産の作業着事務服とは訳が違い、超敏腕服飾デザイナーさんからの高度な要求を満たすべく使命を受けた縫製屋さんもさぞ大変でしょう。中華人民共和国で大量に造られるファストファションと対極をなす、才能と技術の結晶の日本製であります(※)。お値段を調べてみましたが、価値に見合う妥当なものと言うところでありましょう。※汎用アクセサリー類を含むすべての製品とは限りません。最新の正確な情報はメーカーさんにご確認ください。
 
 U-FACTORYを特に贔屓にするつもりはないですが、どれだけ凄いのか見てみますと、
 
U-FACTORYの高級制服の意匠の影響力の例
‥「A50691」の黄色地に白の縦カーブのストライプの強烈な印象は2019年の横浜開港祭親善大使の衣裳制作を行った学生さんの感性を突き動かしようであります。また、登場から10年を超えてなお多くの採用例が見られるロングセラーの名作「A50450」&「A50451」の意匠は、発表翌年の横浜開港祭親善大使のオリジナル衣裳に使われています。
 
 なお、横浜市の服飾専門学校(岩崎学園fカレッジ)の生徒さんによるデザインとなったのは2014年以降で2010年当時は異なりますが、2010年の開港祭のイベントスケジュールに「開港祭親善大使コスチュームの採用表彰も行います」とあるので、色を少し変えただけで表彰された人がいたということになります。似ているのレベルを遥かに通り越してここまで同じだと、パクリではなく表彰された人がU-FACTORYと同じ服飾デザイナーさんであることを願わずにはいられません。ちなみに、2010年には横浜観光親善大使にもA50450の紺のワンピに白のジャケットを組み合わせた制服が採用されたため(2020年時点も継続)、2010年初夏の横浜では事実上同じ衣装で僅かに色違いの観光親善大使と開港祭親善大使が同時に見られたということになります。まあ遠い昔の今となってはどうでもいいことです。
 
 いずれにせよ、亜流がたくさん生まれることは大元が優れていることの証しでありまして、このような事例からも、U-FACTORYの影響力の大きさが理解できるのであります。
 
 
チクマU-FACTORYのユニフォーム製品 A50691 と A40691 のカタログ上の価格(2020春夏時点)分割版左
 しかしこうして既製品の価格を把握してみると、オーダーメイドのお衣裳のご当地さんはもっと凄い気合が入っているんだろうなあとつくづく感じます(価格には必ずしも反映されないその地域で継承されてきた技や感性がもたらした成果を含めて)。
 
 
あきた観光レディー(秋田市)が任期2年間に着用するユニフォーム(2018-2019)
 それにも増して、靴や帽子は別に都合して使い回すとしても、季節ごとにお衣裳を取り替えて任期2年間で計4種のU-FACTORY製品を着倒す「あきた観光レディー」や「ひろしま、宝しまレディ」(広島県)の予算獲得力まこと恐るべしであります。なお当然かもしれませんが、秋冬服は春夏服より値が張ります。
 
 ということで、冒頭のイラストを再掲して列挙しますと、夏の制服として今シーズンにしかるべき方々に用いられた事例は以下のようになります。
 
チクマU-FACTORYのユニフォーム製品 A50691 を2020春夏期に採用した日本の公共プロモーションガール
U-FACTORY A50691(黄橙色)
常陸大宮市(茨城県) 常陸大宮観光大使(2020-2021)
つくばみらい市(同) つくばみらい市観光大使(2019-2020)
小美玉市(同) 茨城空港応援大使(2020-2021)
茅ヶ崎市(神奈川県) スマイル茅ヶ崎(2018-2019、当面任期延長2020-)
大津市 びわ湖大津観光大使(2020-2021)
茨木市(大阪府) いばらき観光大使(2019、2020年の募集開始遅延により同年秋ごろまで任期延長されていると見られる)
豊後高田市(大分県) 豊後高田市観光キャンペーンレディ(2019-2020)
由布市(同) 由布市キャンペーンレディ(2020)
九重町(同) 九重キャンペーンレディ(2019-2020, 2020-2021)
 
(2020年12月27日追記 イラストも差し替え)
鬼北町(愛媛県) 鬼北町夢²大使(2019-)

 茨城県と大分県に3件ずつあり、それぞれの県内の大型催事において同一衣装同色の3者が鉢合わせする可能性は十分にありました。が、
 
 常陸大宮さんに限った話ではないですが、制服の出番は研修を1度行ったときだけ。そして何もないまま夏は過ぎ去ってしまったというそのやりきれなさ、お察し申し上げます。
 

 次点は僅かな差で逆転された、 
U-FACTORY A50690(青緑色)
日立市(茨城県) 日立さくらメイツ(2020-)
群馬県 ぐんまコンシェルジュ(2019-)
前橋市 赤城姫淵名姫(2019-2020)
藤岡市(群馬県) ふじ娘(2020-)※新規就任者の制服は未発表だが前年度継続者複数のため前年度制服を維持すると見られる
鳥取県 わかとりメイツ(2020)
佐世保市(長崎県) させぼ観光大使(2019-2020)
西之表市・中種子町・南種子町(鹿児島県) フレッシュ種子島(2019-2020)
‥他にもあるかな? もし任期が延長されていれば、前述の「小郡市の織姫」なんかも追加となります。「おやべメルヘンメイト」は2020年の募集自体がされているので含めていませんが、選考不成立かつ現任者任期延長となれば追加されます。
(追加)
田村市(福島県)田村市観光キャンペーンクルー(2020-2021)※9月にお披露目
(さらに追加)
和泊町・知名町(鹿児島県)おきのえらぶ島観光大使(2020-2021)※詳細要調査
 
 そんなことよりも、今の小学校の教室ってこんなキモい状態になっているんですか。ああ、デマに騙された大人たちの「子供らをウィルスから守ってやっている」的な自己満足のために水槽の中の魚みたいに‥。

 なぜ今年は同モデルの青緑色よりも黄橙色が優勢になったのかは、世相を反映してとか各自脳内でご自由にご論評ください(笑)。
 
 コロナウィルスの実体を大きく超える脅威を捏造して喧伝した人たちのせいで、理不尽にも本当は不必要なすこぶる過剰な感染防止対策を強要され、宣伝の目的物たるご当地催事の中止を余儀なくされたために、しかるべき方々のお衣裳の発表が春-夏に行えなかったご当地さんも多いことでしょう。それらについては、もちろん上記の制服採用事例には含まれていません。
 
 
2020年も秋冬物の人気を集める制服がこすモーさんカラーであることを予想するご当地大使さん
 さらには、多くの公共プロモーションガールの募集や選出が中止されており、メーカーさんもサプライヤーさんも小売さんも、高級制服を販売する多くの機会を喪失していることにもなります。オリジナルの衣装の制作やコーディネートをするはずだった地元アパレル業者さんもたくさん存在することでしょう。何よりも早くコロナウィルスへの風評脅威が払拭されることを願います。