私は、今でも「公共ミス」は存在する、という認識です。(全部調べましたけど、さすがに、今でも水着審査がある公共ミスコンは存在しませんでしたが‥。)
かつて「秋田美人コンテスト」というミスと準ミスを選ぶミスコンテンスがありました。もちろん知っていたわけではなく、秋田市の広報誌が検索で引っかかったに過ぎないのですが、引用させていただくと‥。
『秋田市にある県民会館で、同市観光協会主催の「第二回秋田美人コンテスト」が開かれた。』
『久しく絶えていたこの催しは、昨年六年ぶりに復活したもので、今回も五十九人の応募者があり、そのうち自信満々の四十三人が参加、和服やドレスで着飾り、会場に集まった約千人の観衆を魅了(?)した。』
(広報あきた1977年6月1日号 冒頭の写真も)
広報誌のグラビア4ページを使うくらいだから、新年度予算に次ぐ市民の最大の関心ごとだったのでしょう。
その後、「秋田美人コンテスト ミス 準ミス」は「ミス観光あきた」に名前が変わります。
(広報あきた1987年4月10日号)
名前は変わっても、秋田市の観光コンパニオンを1年間行うという、受賞者のお仕事の実体は同じです。
募集団体も、秋田市観光協会で、同じです。
ここで、観光協会の事務局は、秋田市役所の観光課。つまり、観光協会に用があって観光協会に電話すると市の観光課の職員が出るということ。
市の広報誌に募集案内をしていたことからも、観光協会が募集していたと言っても、事実上は、市が募集していたと言えるでしょう。
(なお、その後、秋田市観光協会は、財団法人コンベンションビューロー秋田と合併し、公益財団法人秋田観光コンベンション協会となっています。)
長くなりましたが(これからも長いのですが‥)、以下のことが言えます。
(A) 元々「公共ミスコンテスト」なんてものは存在しない。古くから、公共団体(市町村 都道府県)ではなく、「観光協会」、「商工会」あるいは「商工会議所」が募集していた。
と、同時に、以下のことも言えます。
(B) 「観光協会」、「商工会」あるいは「商工会議所」が募集していたとしても、公共団体が広報誌で出場者を募集して、広報誌に結果を掲載して、市長が委嘱するんだから、「公共ミスではない」という言い逃れはできず、「公共ミス」に他ならない。
秋田市の場合は、中断を経て、現在は「あきた観光レディ」と名称を変えています。任期は2年になりましたが、お仕事の内容は昔と同じです。
未婚や性別の条項は撤廃されましたが、やはり「観光レディ」に応募する男性はそうはいないでしょう‥。
秋田県の横手市には、今でも「ミスりんご」があります。もちろん、独身女性しか応募できません。横手市ではなく、一般社団法人増田町観光協会という、法人格を持った団体が募集していることになっています。でも、住所は、横手市役所の増田庁舎と同じです。
山形県の寒河江市には、今でも「ミスさくらんぼ」があります。もちろん、独身女性しか応募できません。ただ、募集団体は「寒河江四季のまつり実行委員会」となっています。でも、コンテストの応募先は、「寒河江市役所さくらんぼ観光課」です。
ミスコン列挙のための検索の過程で、埼玉県の国立大学の学生さんのサイトに『ミスコンは「女性差別撤廃条約」の「男女の平等な社会参加」を遅らせるとして、地方自治体などは現在開催できません。』とあるのを見かけたのですが、上述から、これは間違いであると思います。
正しくは、女性差別撤廃条約の批准に関係なく、公共ミスコンは、(A)批准のずっと前から元々行われていない。 あるいは、(B)批准の後も引き続き行われている。 のいずれかと認識します。
個人的には、ミスコン募集の主催か共催が公共団体であるか、選出後に観光レディ等として任用する団体の実体(もしくは費用の出所)が公共団体(税金)であれば、「公共ミス」そのものであるあら、(良否の議論は置いておいて、少なくとも)「公共ミス」は今も存在していると理解しています。
それぞれの公共団体の実情を考慮すると、もし「ミスりんご」や「ミスさくらんぼ」はけしからんから廃止せよ、と言いたい人がいるとするならば、その人は、「ミス」に代わるもの(「ミス」よりも集客できて経済効果の高いイベントとPR役の選出手段)を考えることができなければならないと思います。
でも、ここ数年は、県が堂々と「美人モデル」を公募するような時代となりましたから、公共ミスコン廃止論者は根絶させられるのかなぁ。男女平等であって欲しいとは思いますが、昔も今も若く美しい女性に何かを託したいんだというような地域の期待というか、女王様を崇めていた古代人から受け継いだDNAというか、地方の公共ミスからは、そういうものを感じます。